知ってそうで案外説明できない「美術用語」【西洋美術 篇】
日本の美術館が10倍楽しくなる話④
【フレスコ】(ふれすこ)
上塗りの漆喰が生乾きのうちに、水を加えた顔料で描く技法。特に中世末期からルネサンス期に多く用いられ、壁と絵が一体となって乾くため、非常に丈夫で、今もなお教会などの空間を彩る。描き直しができないため正確性と計画性が必要で、その難易度の高さからフレスコ画家は当時から高く評価された。
【ルネサンス】(るねさんす)
「再生」という意味を持つ芸術と学問の革新運動。14世紀イタリアで起こり、
16世紀には盛期を迎えた。ギリシア・ローマの古典文化を復興し、教会中心の価値観に対し、個性や合理性を尊重した点に特徴がある。絵画では自然主義ら
しく美しい絵が多く描かれ、二次元の平面に三次元空間を表すことを可能にする透視図法も生まれた。
【油彩】(ゆさい)
油と顔料を混ぜてカンヴァスや板に描いた絵のこと。15世紀の画家、ヤン・ファン・エイクは油彩技法の完成者といわれる。油彩はゆっくり乾くので、部分的な修復も可能。絵の具は画家が自ら調合していたが、19世紀には金属チューブ入りの絵の具が登場し、戸外での制作活動もしやすく、印象派画家による風景画も多く描かれた。
〈雑誌『一個人』2018年3月号より構成〉
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